2026年7月12日

「夏帆」読書メモ

村上春樹「夏帆」を読んだ。
前作の「街とその不確かな壁」は発売直後に買ってはみたものの、1/3ぐらいまで読んだところで挫折してしまったので、今回はどうかなと思ったが、とても良かった。
村上春樹作品は初期の鼠三部作や「色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年」あたりが好み。同じような人には「夏帆」もおすすめできるのかもなと思った。

主人公はタイトル通り夏帆という女性で、自分の見た目に執着がない、絵本作家をしてる、多分20代ぐらい?(と書かれていたような気がするが忘れた)の女性。
個人的な想像だが、多分村上春樹が好意を持つ感じの女性像なんだろうなという気がする。
村上作品でよく出てくる男性主人公は、飄々としてる感じで捉えどころがない印象を持つが、夏帆は地に足のついた実直的な問題に悩んだり、また母親との関係性に曖昧に悩んでいるような現実世界のわたしたちっぽい描写が多い。そのあたりはこれまでの主人公像と違っているが、個人的には受け入れやすかった。
また、村上作品特有の、あっちの世界やその中での理不尽・不条理のようなものも描かれていた(というかその辺がこれまでの作品に比べてわかりやすく描かれていた印象を持った)
訳のわからなさに知らぬ間に巻き込まれていく主人公という流れに思えるが、現実世界における問題も訳のわからぬうちにドツボにハマっていたり、足元を絡め取られているということが往々にしてある気がする。
そんな中で寝てるうちに問題が解決してることをただ祈るではなく、実際的に自分自身の問題だということを自覚して問題に対面してく様子が描かれていた。この辺が自分が村上作品を読んでる理由な気がする。